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“着物の絵付け(留袖)”

 

着物は幅38cm、長さ12mの白地の反物を使用します。様々な文様がありますが、中でも伝統的な染めの工程を留袖のケースを用いて紹介します。(染匠市川HPより抜粋)

図案・下絵

仕上がりを左右する図案と下絵。きものの構図が決まる重要なポイント。

図案をもとに、絹生地に直接青花で原寸大に下絵を描いてゆきます。青花は露草の花弁を絞って得た汁ですが、近年では化学青花も使われています。どちらも、下絵の線を水で消すことができます。

 

地染め・蒸し

きものの地色を染める重要な工程。色合わせした染料を均一に引き染します。

染料を生地に均一に浸透しやすくするとともに、染料が伏せ糊の内側に滲み出るのを防ぐために豆汁とふのり液を混ぜたものを全体に引く、地入れの作業を行います。

きものの地色を染める  重要な工程。  色合わせした染料を  均一に引き染します。

染料を生地に均一に浸透しやすくするとともに、染料が伏せ糊の内側に滲み出るのを防ぐために豆汁とふのり液を混ぜたものを全体に引く、地入れの作業を行います

色を染めるごとに必ず蒸して熱を加え、染料を生地に定着させます。蒸しの作業は力仕事。「蒸し」、つまり熱を加えることで、繊細に染料が浸透して生地と結ばれ、離れなくなり定着します

反物を掛けた蒸し枠を、蒸し箱と呼ばれる水を張った箱の中に入れ、百度近くの高温で蒸します。 反物の種類や蒸気の質、季節によって、蒸し上がりが変わるため適切な判断が求められます。

 

挿し友禅

職人の個性とセンスが発揮される友禅染工程の花形.

「友禅する」といわれる色挿しの工程。糸目糊で防染した模様の内側に染料を挿してゆきます。およその指定はありますが、染料の調合から細部の配色まで職人に任されますので、高度な色彩感覚と絵画的な技量が必要とされる重要なポジションです。

 

糊置き

糸目糊による描線が着物の出来上がりを左右する大事な過程です下絵の線に糊を置いていきます。
先金を付けた渋紙で作った円錐形の筒に糊を入れて、指先で調節しながら押し出していきます。糸目糊は、挿し友禅の際に色がまざらないように防染するのが目的です。
出来上がりのイメージによっては、ゴム糊を使うこともあります。

多色染めの友禅には欠かせない、模様部分に色が入らないよう糊で伏せる作業

 

水洗い

世界に名だたるきれいな地下水に何度もくぐらせ美しさを増す反物。

 水を通った反物は乾燥室で乾かした後、湯のしをして加飾の工程に進みます。染め上がった模様に金・銀箔を施す仕上げが京友禅のきものをさらに華やかにします。

糊とともに、定着せず生地の上に乗ったままの余分な染料を水で洗い流す作業を水元といいます。「川」とよばれる地下水をくみ上げて流した長い水槽に、反物を流して作業します。はじめに、糊を五分ほど水で流してふやかし、道具で落とした後、傷ができやすいので、注意しながら手早く洗います。

乾燥・湯のし

水元の作業後、風合いを柔らかくする柔軟加工が施されます。その後反物は乾燥の工程へ。現在は自然乾燥と人工乾燥の方法があり、目的によって使い分けます。蒸し、水元、乾燥が一連の作業。 写真は「湯のし」と呼ばれる、生地目を揃えてシワやたるみを伸ばす工程

金彩

染め上がった反物に金・銀の箔や粉などを接着加工する工程で、金加工、金彩ともよばれます。染め表現だけでも華やかですが、金や銀が加わることでボリューム感が出てより豪華な印象になります。

また、胡粉や金泥を摺ることで柄に立体感を出すような技法を用いることもあります

刺繍

京繍」とよばれる刺繍で染め模様に立体感を加えて豪華に仕上げます。

京都の伝統の日本刺繍は、色鮮やかな絹糸や金糸を用いて、着物の模様を様々な技法で豪華に、またある時は上品に立体感を出すように表現します。

細い糸や太い糸を使い分けることで、繊細な刺繍がアクセントになるのです。最後に金や顔料などを用い、葉すべや花のニオイなどを筆で丁寧に描きいれていきます

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